ミリ

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特徴的な低い声を発し、苦しみだす。 始まったのだ...... お産は親の部屋で行われた。一真達は苦痛に悶え鳴くミリの体をそっと撫で、新しい生命の誕生を待った。ミリの低い悲鳴は更に大きくなり.........そして 一真「..........産まれたッ!!」 ミリのお腹から産まれ出でた赤ん坊は、ミリの母親と同じ真っ白な猫だ 父「まだ.......中にいる」 一真「ミリ.......がんばれッ!!」 30分後......... ミリは全部で4匹の子供を授かった 2匹目の子供は黒 3匹目の子供はブチ 最後の子供はミリと同じトラ 一真「よ............よかった」 家族はミリの出産の無事を見届け、安心と共にドッと力が抜ける。だがミリには休む暇はない。出産で相当の体力を消費したにもかかわらず、ミリは子供達をひっきりなしに舐める。 父「よし、俺達はここまで。後はミリの仕事だ。そっとしとおいてやろう 」 母「そうね。一真も部屋に戻りなさい?」 一真「うん.......そうする」 早いもんだ........子猫だったミリが、もう母親か....... 一真はこの日、率直な嬉しい気持ちと、もうひとつ説明できない何か、変な感じを覚える それから一週間、ミリは毎日のように様々な場所に子猫達を移動し、一真達の目につかないように子育てに没頭した まるで、この後に起こる人間のエゴイズムを察知しているかのように 一真「..........譲るって........あの子達を!?」 茶の間でゲームに夢中になっていた一真の意欲を一気に失わせる酷な宣告だった 母「........うん。..........父さんとも話し合って.......その方がいいってことになったのよ」 一真「な、んで?」 母「猫って不思議な習性でね、産まれた子供を飼い主が可愛がると、親はその家からいなくなるって、本で調べたら書いてあったの。お父さんの飼ってた黒猫の時も、仕方無く、産まれた子猫を他の人に譲ったらしいわ」 一真「...........そんな」 一真には反論の余地が無かった。この子猫達も、ミリの子供。出来ることなら他にやりたくはない!!だけど......そうすることでミリを失うのは、絶対に嫌だ!!! 次の日、新聞の端っこにある広告欄に『子猫の貰い手募集』の文字が記された
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