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二日後、子猫を譲ってもらいたいと中年の男が小原家を訪れ、ブチの子猫を引き取っていった。
それから三日後、三十代の夫婦が黒の子猫を引き取っていった。
そして、次の日、残りの子猫二匹を譲ってほしいと家に電話が入る
一真「二匹一気になんて......そんなッ!!」
親の部屋でその事を告げられた一真は子猫を一気に失う喪失感で一杯になる
母「寂しいけど、せめて、兄弟一緒に暮らせるなら、それでいいじゃない.......」
母はカゴの中の子猫を撫でる
一真「ミリが悲しむッ!!子供が全部他に盗られちゃうんだからさッ!!」
一真は一真で、子猫が貰われていくことにショックを覚えていた。納得したつもりだったが、子猫達が次第にいなくなっていく寂しさと虚無感の捌け口に、本来なら感謝しなくてはならない貰い手の方々を憎らしく思うのだった
母「なら、どうするのッ!!あの子達を家に置いて、ミリが出ていく方を選ぶのッ!!?」
母は声を振るわせながら、一真に問いかけ、顔を両手で覆い、声を圧し殺して泣く。部屋の中の音はカゴの中の子猫の鳴き声だけ。その空間が二人の寂しさを引き立てていく
そう、どうしようもないのだ
最後の二匹、ミリの母親と同じ真っ白の子猫と、ミリとそっくりなトラの子猫が貰われていったのは、次の日の午後だった。それからしばらくは、いなくなった子供達をひっきりなしに探しまわっていた。子供達を呼ぶミリの切なげな声に一真達は罪悪感を感じずにはいられなかった
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