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ひょひょいと食事を済ませた杏樹は、寝落ちしている五十鈴のソファーの腕かけに腰掛けて寝顔を見下ろしていた。
すぅ…すぅ…と小さな寝息をたてながら眠る五十鈴は、外からの暖かい陽気に照らされていつも以上に引き付けられた。
それが、可愛らしいとか、綺麗とか、格好よく見えたからかはよく解らないけど、杏樹は知らず知らずに小さな笑みを浮かべていた。
「……」
杏樹はゆっくりと顔を上げると、キョロキョロと周りを見渡した後、時計に顔を向けた。
「まだ…大丈夫よね…?」
呟くくらいの問いを自分にこぼしながら顔を落とした。
その顔はほんのり赤くなっていたのだが、そんな事が本人には解るはずもなく、杏樹は口元に小さな笑みを作りながらひょいと腕かけから降りて寝ている五十鈴の前に立った。
そして、五十鈴の両手を開くと──その内側に自分の身体を滑り込ませた。
そして、自分の体を包み込むように五十鈴の腕と一緒に抱き締めた。
「──うわぁ…お、思ってたより恥ずかしいわね…これ…////」
そんな事を呟きながらも、腕を離すどころかさらにギュッと抱き締めながら笑みを浮かべていた。
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