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「──先輩!」
「ん…あれ…?百合夜ちゃん…?もう…そんな時間…?」
相変わらずのメイド服の百合夜にそんな事を呟きながらも、五十鈴はまだ重い眼を軽く擦った。
「そうですよ。もう…──それに先輩…!」
「は、はい…。何でしょう…?」
なぜか不機嫌そうな百合夜に、五十鈴は目をパチクリさせながら言葉を返した。
「し、しちゃ駄目とは言いませんけど…ば、場所と時間ぐらい考えてもらわないと困ります…!////」
……はて?何の事でしょうか?
百合夜の言い出した言葉の意味が理解できなかった五十鈴が小首を傾げていると──
「ん…」
聞き覚えのあるうめき声。
そして、心臓が痛くなるようなうめき声の聞こえてきた方に、五十鈴は漫画であるようなギシギシと軋む音が聞こえてきそうなほど堅い首を無理矢理に向けた。
そこには、胸元辺りに顔を埋めて寝息をたてる杏樹がいた。
……何故に?
全く予想だにしなかったこの現状に、五十鈴は頭の中が真っ白になりかけたが、百合夜が口にしていた言葉が引っ掛かった。
あれは、ここでヤった事を前提に言っていたとしか思えない。
もう、直ぐにそっちに繋がってしまうんですね…
五十鈴はそんな事を心中で呟きながらも一言
「百合夜ちゃん──ドンマイ」
「何がですか!?」
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