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プロローグ
※ゲームブック版と小説版をキンドルにしました。
未来(みく)を誰よりも愛していた。
初めての彼女だった。
雪が降る道で足をすべらせ、うずくまっていたところを真っ先に駆け寄り、「大丈夫?」と声をかけたのがきっかけだ。
初々しいセーラー服姿に長い黒髪、大きくて潤んだ瞳に胸がときめいた。
付き合い始めてそろそろ1年が経とうとしており、記念日にはどこか旅行にでも行こうと2人で話していた。
それなのに……。
記念日にあと数日というある日の朝、未来は女子高の登校中に車にはねられてしまう。
すぐに病院へ運ばれたが、打ち所が悪かったらしく助からなかった。
未来のお母さんから涙声で連絡を受け、病室に無我夢中で駆けつけた時、未来は顔に白布を掛けられてベッドに横たわっていた。
白布をめくる俺の手は絶望で震えた。
色白で愛らしい顔には傷ひとつなく、それがせめてもの救いだった……。
一旦アパートへ戻っても何もする気になれず、誕生日のお祝いに未来が編んでくれたセーターを抱きしめて、ずっと泣いていた。
ふと目覚まし時計を見ると、夜の8時すぎ。
10時間も泣いていたのか。
さすがに泣き疲れて、気晴らしにテレビをつける。
体外離脱の特集番組をやっている。
離脱体験者が、亡くなった祖母に会って話をした、と真剣な表情で語る。
これだ!
涙を拭いながら画面に釘付けになる。
意識が肉体を離れて空を飛んだり、不思議な体験ができるという体外離脱に興味をもち、本などを読んで何度か試したのだが、1度も成功していなかった。
簡単な離脱法が紹介される。
これならいけるかもしれないと思えた。
未来は今、どんな気持ちでいるのか知りたい。
どうしても再び会って話がしたかった。
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