レフィエールの兄弟

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 トレアンはさらりと喋って、カレンがごめんなさいと言おうとするのを遮った。さらにこう付け足す。 「私の父は、闇使いだった。私自身は光使いだが」 「でも俺にはその力はないさ。もし俺より下に弟とか妹がいても、兄さんみたいに術は使えないし、他のドラゴン使いの家族もうちみたいなレフィエールの家柄とは違って、術は使えないんだ」  何でかはわからないけど、と言って、テレノスは立ち上がった。 「丁度いいや、兄さんも久し振りに父さんと母さんに会いに行こう」 「……それもいいだろう」  服に付いた土を払って、彼らはカレンを振り返る。彼女もその先を理解して、すっと立ち上がって歩き始めたトレアンとテレノスの横に並んで森から抜けて行った。  レファントに住むドラゴン使いの家は大きく、たまに岩棚があったかと思えば、そこで何匹かのドラゴンが日向ぼっこをしている。彼らは、三人がそばを通り過ぎると大きな金色の目を片方だけ開けて、必ずジロリと観察してきた。そしてまた、昼寝に戻っていくのだ。ドラゴンのうろこの色はそれぞれ違ったが、日の光に反射してきらめくのが美しかった。  家と家との間に広がる耕地は広く、耕した土の匂いと目に見える一面の緑は新鮮で、カレンはすう、と息を吸い込む。進む道は脇にそれて、行く向こうには小高い丘が広がっていた。 「……結構見晴らしがいいだろう?」  立ち止まったトレアンを振り返ればそう言うので、視線を少し上げる。森が遠くまで広がっていて、ずっと向こうの山々が青空の下で緑色に燃えていた。 「すごい、綺麗」
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