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ミーンミーン…
「ッ…暑いなぁ」
強い光を注ぐ太陽。
五月蝿く鳴く蝉の声。
まだ外に出て一時間も経っていないのにも関わらず、額にはうっすらと汗が現れる。
私は、その汗をハンカチで拭いながら朝の満員電車に足を延ばした。
(うわっ…蒸してる!)
電車に乗り込むと、冷房が点いているハズなのに、ムワッと熱気が伝わる。
そんな中、人に押されながらも吊り革に捕まった。
(うぅ…毎日毎日本当疲れる…)
朝から人にもみくちゃにされ、身動きが取れない。
吊り革一つで、揺さぶられる体を抑えるのは体力を使う。
そんな朝
「…ッ!」
更に最悪な出来事が起きる。
(また!?)
そう、それは夏の暑い時期。
このシーズンに必ずと言っていいほど現れる。
(…気持ち悪っ)
“痴漢”
彼女は、尻に異様な違和感を感じ、顔をしかめた。
満員電車なのだから、不本意に何かが当たってしまうのは致し方ない事。
だが、それを感じさせないほど、体に触れる手は上下に動いていた。
(最近多すぎだよ!)
最近彼女は、よく痴漢に会うらしく、尻を触られていたようだ。
初めは気持ち悪くて、会社に着いても気分が優れなかった事もあった。
だが、慣れというものは怖いもので、最近は“怖い”というよりも“怒り”を覚えている。
(今日という今日は…!)
どうやら彼女は今回ある行動に移ることにしたようだ。
手をゆっくりと後ろに移動させる。
そして、自分の体に触れている手を掴んだ。
グイッとその手を持ち上げ…
「泣き寝入りすると思ったら大間違いよ!」
痴漢を捕まえた。
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