3貫いて

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炎にあぶられたロウのように、あたしは溶けていく。 息が苦しい。 体の奥の、下のずっとずっと底がじんじんしてて、溢れ出してくる。樹の舌先がそこに触れる。 熱い。 今まで感じたことのない熱にとろけていく。 甘く熱く高ぶる。 聞いたこともない声で喘ぐたび、もっともっと溶けてしまいたいと思う。 溶けだして流れ出す。 もうあたしはあたしじゃない。 樹ももっと溶けてしまえばいいのに。 そしてあたしと混ざっちゃえばいいのに。 あたしは樹に抱き締められて形を取り戻す。 貫かれる鈍い痛みがあたしを満たす。逃げようとするあたしを樹はきつく抱く。 「もう限界。最後までいくよ」 あたしは樹を見上げて、こくりと首を縦に振る。 最後?最後って何?どうなるのが最後? わからないけど、もう全部、樹の好きにしていい。樹に抱かれながら樹を抱きながら、お互いを隙間なく分かちがたく一つに溶かし合う。 「ひろ、愛してる」 樹の喘ぎ声に胸が震える。 本当にずっとずっと一緒にいられますように。いるのかわからないけど、神様にお祈りする。 「ひろ、愛してる」樹は何度も囁く。「愛してる。ずっと」 やがて軽い痙攣とともに全てを吐き出して、樹は深く息を吐いた。 優しく、あたしを抱き締めて髪を撫でている。 「これからもずっと一緒だよ」樹は囁く。 本当に?と聞くことはできない。 だから、心の中でそうでありますようにとお祈りする。
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