いろはうた(仮)サムライ戦記

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「苦戦を強いられましたが、頭に角が生えている一族の青年が戦いに勝利しました。…しかし、頭に角が生えている一族の青年は愕然としました」 「自分と戦い、命を落としたものが…かつての幼馴染だとわかってしまったからです」 「そこでようやく頭に角が生えている一族の青年は気付きました。この戦を止めさせなければ、と」 ここまで大人しく聞いていたおとろしだったが、オチがわかると馬鹿らしくなってきて鼻で笑ってしまった。 麦秋は話すのを止め、おとろしの方を見る。 「…馬鹿馬鹿しい、それで二つの国は仲良くなったとさ?って、子供だましの終わり方なんだろ?」 正直に心の内を吐き出すおとろしに思わず笑ってしまい、それから麦秋はどこか遠くを見るような目で続けた。 「ははは!幼い頃はそれで納得していたが、こうして年月が経つと物の見方も変わるものでな」 麦秋の言わんとすることの意味がわからず、おとろしは首を傾げてしまった。 「…はぁ???」 「麦秋!!いるか!!」 そんなおとろしに何かを言おうと麦秋が口を開きかけた時、それを遮る形で青年の声が屋敷に響いた。 麦秋の幼馴染、佐之介だ。 ドスドスと足音が聞こえ、それはこちらへ向かっている。 おとろしは素早くその場から姿を消し、縁側には麦秋と小鳥だけが残された。 「麦秋!いるなら返事をしたらどうなのだ!」
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