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私の声は獣のような声だった
助産婦さんと先生の声がハッキリ聞こえない
何度も海里の名前を呼んだ。喉から血が出そうだ
『お母さん、もう少しですよ!ほら頑張って!』
一瞬下半身が切り裂かれるくらいの痛みが走った
そしてスルンと何かがでてきた感触だった
でも泣き声が聞こえない…!私は身体を少し起こして赤ちゃんのいる方を見た
先生が何か施してる
私は狂いそうになった
その時小さな赤ちゃんの声が聞こえた
『お母さん、可愛い女の子ですよ。少し小さいけど元気です!』
綺麗に洗ってもらった赤ちゃんが私の元にやってきた
元気よく泣いている
この子が私とずっと過ごしてきたお腹の中の住人…
これからは、成長を見ながら生活していけるんだ…私は涙が出た
後産を終え病室に戻ると後から赤ちゃんがやってきた
『お姉ちゃん、可愛い女の子だね』
『うん…少し小さいけどとっても元気』
『頑張ったね、この子は空の嬉しかったこと、苦しかった事みんなわかってるんだから…』とお母さんは言った
海里の両親は赤ちゃんを交代で抱いていた
『きっと海里も産まれたの知ってるはず…お義母さん、桜井さんに産まれた事連絡しといてください』
『桜井君ね、わかったわ』
私は少し休みたくなった…月子がかってきてくれたゼリーを食べると、眠ってしまった
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