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佐藤は出来るだけ早くクラッチを繋ぎ、走り出した。すぐさま2速に繋ごうとしたその瞬間
隣のRZはかなり速いウイリーをしながら先を走り、20メートル程先で通常走行に戻った。
(な!?どうやったんだ!?)
頭の中がパニックになりながらも必死にRZを追っかける佐藤。しかし、はっきりと離されて行くのが分かる。
(馬鹿な!?俺のN1が同じ50ccに置いてかれる!?)
それでも佐藤はアクセル全開でRZを追う。
しばらくしてスピードメーターをちらっと見ると、すでに速度は90㎞/hに到達していた。
最高速が110㎞/hの佐藤のN1はここら辺から加速が鈍くなっていく。そして、50ccバイクの心もとないタイヤのせいで、ハンドルはブレていき、頭は転倒の恐怖で一杯になる。
それでも前のRZに追いつきたくて、アクセル全開のままの佐藤。
しかし、その思いも砕かれる事になる。
N1の最高速の110㎞/hに到達したときだった。
(無理だ………追いつけない………)
佐藤は諦めてアクセルを緩める。
110㎞/hになり、N1のタコメーターもレッドゾーンに入ってエンジンが悲鳴をあげているにもかかわらず、RZの加速は衰えることなく、差がどんどんついていった為である。
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