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RZとの勝負に負け、うなだれながらコンビニに寄る佐藤。
駐車場にN1を止め、降りてみると足が微妙に震えているのが分かった。
(そっか、久しぶりに100㎞/h越えをしたのか………)
頭は敗北感で一杯なのに、体は恐怖感で一杯のようだ。
無理もなかった。普段はマグナに乗っていた為、体は60㎞/hの感覚に慣れてしまっていた。さらに普段から体験していないハンドルの揺れ。
足が震えるには充分だった。
そのとき
「あんたもあの悪魔に会ったのか?」
誰かが話かけてきた。
「悪魔…って?」
「あの黒いRZだよ。黒ずくめだから悪魔っぽいだろ?」
「ああ………なるほど」
「今夜、あのRZに挑んだのか?」
「ああ…」
「その様子だと負けたな」
「………なんだってあんなに速いんだ………ボアアップでもしてるのか?」
「あれはしていない。セッティングと軽量化などをしてるんだよ」
「ずいぶんと詳しいようだけど、あのRZと知り合い?」
「ああ、知り合いだな。勝負した事もあるけど結局、途中であまりの速さにビビった俺が自爆して負けたがな」
「そうだったのか………」
「その点、あんたは無事だっただけましだよ。そういえばまだ自己紹介してなかったな俺は村杉」
「俺は佐藤」
「お互い悪魔のRZに負けた仲で仲良くやろう」
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