第一章 慟哭

5/5
前へ
/7ページ
次へ
どうやって戻ったかもわからなかった。 カーテンから差し込む日の光で目が覚めると、僕は自宅のソファーに 倒れこむようにして眠っていた。 今日は土曜日・・・。 あ。彩を起こさなきゃ・・・。 無意識に起き上がると、僕らの寝室のドアを開けた。 とたんに僕は夢から覚めて現実に引き戻された。 ベッドはキレイなままで寝相の悪い僕が寝た痕跡も彩が寝ていた痕跡も 残さず、いつもどおりのようだった。 ただ、違うのは僕らがいた痕跡はどこにもなかった。 台所には僕が用意した夕飯がそのまま残されたままだった。 冷め切ったピザと、用意したワイン。 昨日までは、幸せな夫婦だった。 正確にはほんの数時間前までは・・・。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加