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「美華さん…その…あなたのいた時代では…女性は恥じらいのようなものは持っていないのでしょうか?」
帯の形を整えながら総司は言った。
『…そんなことないよ。あたしはずっと裸を見せる仕事をしていたから…慣れちゃったのかもね。……そうだよね、普通は恥ずかしいんだよね』
哀しそうな瞳で笑った美華は総司を振り返って言った。
「すみません…ありのままの美華さんで良いと言ったのに、こんなことを言ってしまって…」
『ううん、沖田さん…気付かせてくれてありがとう。…ね、永倉さんも誘ってご飯食べに行こう?』
俯いていた総司に美華は笑いかけた。
「はい、そうしましょう!それではあとは髪型だけですね…あの、美華さん。これを使ってください」
総司は懐から小さな箱を取り出し、美華に持たせた。
『あたしにくれるの?開けてもいい?』
「もちろんですよ。美華さんに買ってきたんですから」
総司の言葉を聞き、美華は包みを開けはじめた。
『わぁ…綺麗!簪だよね?沖田さん、本当にありがとう!ねぇ、これも付けて?』
総司に簪を渡した美華は、姿見の前に座った。
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