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総司は美華の長くて柔らかい髪を梳(す)いて後ろで纏(まと)めると、買ってきた簪を差し込んだ。 『沖田さん慣れてるね。女の子によくしてあげるの?』 いたずらっぽく笑った美華が総司を鏡越しに言った。 「ち…違いますよ!僕は姉が二人いますから、小さい頃に姉が髪を結うのをよく見ていたんです!!」 『あはは、ムキになってる~。ありがとう、沖田さん。じゃあ行こっか!』 そう言って振り向いた美華は襖に向かって歩きはじめた。 総司も簡単に身の回りを片付けると、襖の前で待っている美華の元へ行った。 「お待たせしました、さぁ行きましょう」 総司が襖を開けると、待ちくたびれた永倉が縁側で寝転がっていた。 『永倉さん!お待たせ~。見て、沖田さんに髪もやってもらったの!』 「……。」 反応の無い永倉を見て、美華と総司は顔を見合わせた。 『おーい。永倉さんどうしたの?』 永倉の顔の前で美華は手をヒラヒラとさせた。 「可愛い…」 『え?』 「あっ、いや…姉ちゃん見違えちまったよ!前の着物も良かったけどよ、こっちも似合うじゃねぇか!」 永倉は美華の着物姿に顔を赤くしながら言った。
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