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「さて、じゃあ行くか。姉ちゃん何が食いてぇんだ?」
永倉が笑顔で美華に聞いた。
『んー…この時代は何があるんだろ?お蕎麦とかうどん?』
考え込んだ美華は総司を見た。
「じゃあお蕎麦屋さんに行きましょうか。この前、新しくできたところがあるんですよ」
草履を履き終えた総司が言った。
「よし、じゃあそこにすっか!」
玄関を開けて歩きはじめた永倉に二人は付いて行った。
屯所を出てしばらく歩くと沢山のお店が並んでいた。
人々が行き交い、街は活気に溢れている。
『わー…すごい。時代劇と同じだ…』
美華はキョロキョロとしながら楽しそうに歩いている。
子供のように無邪気な表情をする美華を、すれ違う人達が驚いたように見ている。
視線に気付いた美華は、隣を歩く総司の袖を掴んだ。
『…やっぱり、みんなあたしのこと変な目で見てるね。ごめんね、あたしのせいで…二人までこんな目に遭わせちゃって』
総司の背中に隠れるようにして歩く美華に永倉が声をかけた。
「気にすんじゃねぇよ。あいつらがジロジロ見てるのは、姉ちゃんが綺麗だからだよ」
「そうですよ、美華さん。ほら、あそこにいる男なんて顔が真っ赤じゃないですか!」
そう言った総司の目線の先を美華が見ると、男は慌てて目を逸らした。
ね?と言って総司は美華の頭を撫でた。
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