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「あ、永倉さん!そこの角のお店ですよ~」
総司は一軒の蕎麦屋を指差した。
「いらっしゃいませ!」
暖簾をくぐった三人は一番奥の席に座った。
「俺、ざるそば!」
「僕は山菜そばにしようかな。美華さんはどうします?」
注文の決まった二人は美華を見た。
『…あのさ、達筆すぎて字が読めないんだけど…普通の温かいお蕎麦ある?』
苦笑いをした美華はお品書きを見せながら、正面に座っている永倉と総司に聞いた。
「あぁ、かけそばですね。ありますよ!すみませーん、注文いいですか?」
総司が店員を呼び注文している間、美華はお品書きと睨めっこしていた。
「姉ちゃん、字が読めねぇのか?それとも違う字を使うのか?」
店員の持って来たお茶を飲みながら、永倉は美華に聞いた。
『ううん、字は同じだよ。でもこんな風に繋げて字を書かないから読めないんだ』
お品書きから目を離し永倉を見た美華は、落胆して言った。
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