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「おや、そうなのかい?」
女将は目を丸くして美華を見た。
「美華さんっ!お待たせしました」
美華と女将が話していると、袖で額の汗を拭いながら総司が戻ってきた。
「女将、水を一杯くれねぇか?」
永倉は店に入ってくるなり大声で女将に言い、美華の隣に座った。
『な、永倉さんっ!血っ!血が出てるよ!!』
隣に座った永倉を見るなり、美華は叫んだ。
「あ?あぁ、これくらい大したことねぇよ。掠(かす)っただけだ」
平然と言った永倉は腕についた傷をペロッと舐めた。
「絡まれてた女子に見とれてたんですよね?永倉さん?」
総司は女将の座っていた椅子に腰を下ろしながら永倉に笑いながら言った。
「ばっ…!ちげぇよ!!」
女将の持ってきた水を飲みながら永倉は大声を上げた。
総司と永倉のやり取りを見ていた女将は美華にそっと耳打ちをした。
「両方いい男じゃないか?」
『!女将さんっ!』
慌てて美華は女将を振り返ったが、女将は笑いながら店の奥に入って行った。
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