21/24
前へ
/76ページ
次へ
袖に違和感を感じた総司は、美華が掴んでいるのを見て優しい眼差しを向けた。 「大丈夫ですよ、美華さん。食事の用意は源さんが教えてくれるでしょうし、僕も見回りや稽古がなければ手伝いますので。ね?いいでしょ、土方さん!」 「……わかった。ただし、女中に一人部屋を与えるわけにはいかない。他の隊士に示しがつかないからな。…総司、お前と同室だ」 しばらく考え込んでいた土方の言葉に4人は驚いた。 「………。」 総司は突然の言葉にポカンとしている。 「歳!いくら総司と言っても…年頃の女子と同じ部屋ってのは…」 「そうですよ、土方君!かえって他の隊士に示しがつかないのでは!?」 慌てふためく近藤と山南をよそに美華は土方を見据えて口を開いた。 『ここは確か…女人禁制だったよね?他の隊士から守るために沖田さんと同じ部屋にするんでしょ?土方さん、ありがとう。近藤さんも山南さんも。沖田さん…沖田さんの仕事の邪魔にならないようにするから…よろしくお願いします』 そう言って美華は頭を下げた。 「えっ!?いや、あの…こちらこそよろしくお願いします」 我に返った総司も美華に頭を下げた。 「…ったく。そうと決まったら俺の部屋から荷物と布団を持って、さっさと総司の部屋に行け!荷物が片付いたら屯所を案内して、源さんに挨拶してこい!以上!!」 土方は若干顔を赤くしながら総司と美華をまくし立てた。
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

454人が本棚に入れています
本棚に追加