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『……。』 「あっ…」 美華は掴んでいた総司の袖から手を離すと、後ろに一歩下がった。 美華が離れた瞬間、総司は廊下に額を付け土下座をした。 「申し訳ございませんっ!!!手を出さないと言っておきながらこんな…こんな……っ!」 『ちょっ!沖田さん!気にしてないから、頭を上げてよっ!』 額が凹むんじゃないかと思う程の総司を見て、美華は廊下に膝をついて言った。 「本当に…すみません」 恐る恐る顔を上げた総司は目を見開いた。 美華が笑っていたからだ。 『あたしなんかに頭を下げないでよ。てか…元遊女、冥利に尽きるってかんじ?抱きしめたくらいで反応しちゃうなんてさ…あははっ!沖田さん超可愛い!』 ケラケラと笑う美華。 (可愛いって…あなたの方がよっぽど可愛いですよっ!はぁ~…) 美華は立ち上がると、総司の前に手を差し出した。 『ほら、立って。もたもたしてたらまた土方さんに怒られるよ』 総司はそっと美華の手を握ると立ち上がった。 「…僕はもう、美華さんには触れません」 俯いて言った総司は、握っていた手を離して歩きはじめた。 (それがいいよ…沖田さんみたいな純粋な人は、あたしなんかに触っちゃいけないよ) 悲しみを浮かべた美華の瞳に、総司が気付くことはなかった。
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