文化祭

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やばい。 やばすぎる。 「まこ!可愛いだろ!」 鷹を飛ばせてはならなかったのだ。 「・・・・」 彼女を瞳に入れた瞬間、全てを理解した。 鷹がこの子を追いかけた意味も、その薄っぺらい笑顔の意味も。 鷹の考えも。 「メイド!」 『わー!』 こいつはまだ忘れてはいなかったのだ。 全て忘れた、そう言っていたのに。 名前を捨てて鳥となった今でも、こいつの翼には無数の鎖が巻き付いている。 重々しい灰色をした無数の鎖と、枷が。 バカだよ お前は本当にバカだ。 今更、今更どうなるって言うんだよ。 何もかも捨てたのに、今更それを取り戻そうとするなんて、つらいだけじゃないのかよ。 (・・・・・・殺した) 何年のつき合いだと思ってる。 心配しちゃ悪いかよ。 (俺が殺したんだ、) そう言って笑っていたあの表情が、今でも瞼に焼き付いている。 (・・・いらない、もういらない、いらない、いらない) 君の代わりなんて、と。 ・
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