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「ほらほら、早く早くっ!!」
『やだってば!私やらないっ!』
「何言ってんの、学校で一番可愛いなんて言われてるあんたが、出なくてどうすんのよ」
右手首を痛いぐらいに引っ張っているのは、クラスの副委員長をしている市原真弓(イチハラマユミ)。
委員長を影で支える存在の副委員長だが、彼女にいたっては例外だ。
何しろ委員長を押し退けるほどのやる気の持ち主で、真弓の前に出ようとする人はいないから。
『男の人嫌いなんだってば!』
「大丈夫、すぐ慣れるって」
あぁもう。
この子には何をいっても無駄なことはわかっているのに。
でも、今回ばかりはそうも言ってはいられない。
あまり回転のよくない頭をフル回転させ、この状況を打破する策を考えなければいけなかった。
『・・・真弓、私用事が』
「クラスの出し物以外に、何か用事あるの?」
『・・・委員会、委員会の出し物が・・・』
「あ、もうすぐ教室ね」
聞いちゃくれない。
やはり彼女相手にこの状況をどうにかしようとしているのは、間違いなのだろうか。
半泣き状態になっている私を、彼女は有無を言わさない勢いでずるずると引きずっていった。
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