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15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/19(水) 13:10:06.72 ID:sViwJ6eP0 俺が父親と住む事になった街は人口数千人ぐらいか。日本と比べたら 人口密度はかなり低い場所だった。 周りは山に囲まれてる盆地で、建ち並ぶ統一された住居は、 とても綺麗だった。オレンジ色の屋根は当時日本(といっても俺の地元)では 目にする事が無かったから、初めは奇抜だと思ったよ。 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/19(水) 13:13:17.32 ID:sViwJ6eP0 子どもが親についていき、海外で暮らす場合、多くは日本人学校等に 入る事になると思うのだけれど、俺の住む街には日本人学校どころか日本人すらいない。 いや、俺と父さんの二人はいたけどさ。 不安を抱きながら学校へ行っても、皆何を言っているのか理解出来ないわけだ。 当然、俺は一人ぼっちだった。 自己紹介すらきちんと出来なかったからな。 もう少し年を取っていれば、ノリで仲良くする、フレンドリーに接するなんて事が出来たかもしれない。 だけど、当時の俺にそんなスキルがあるはずもなく、どうしようもなかったんだ。 その為、最初の2週間ほどは非常に苦痛だった。 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/05/19(水) 13:15:27.06 ID:sViwJ6eP0 遊びたい盛りの当時の俺にとって、こうした寂しさを我慢するというのは、 限界が近づきつつあったんだ。だから、何か遊ぶものを探そうと思って、休みの日に ふらっと一人で街を散策していたんだ。一人で街中に行くのは初めてだったから、 少し迷ったりしたけれどね。街を行きかう人々を見ながら、学校の方へと歩いていくと、 道の端にある空き地で子ども達がサッカーをしていた。 とても羨ましくて、「いいなぁー。」と思ったわけだけれど、「いーれーてっ!」といった言葉は かけられない。というより、その言葉が話せないからな。だから、何も声に出せず、 もじもじしながら、その子ども達が遊んでいるのを空き地の端っこでぼーっと眺めていたんだ。
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