「雪国へやって来て」

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車の窓ガラスが白く曇る。 私は水滴を軽く右手でふいて、にじんだ景色にじっと目をやる。 東京では考えられないほどの積雪の量と、その白さ。 きっと触れたら崩れるような柔らかい雪なんだろう。 同じような風景が続くけれど、それらに決して飽きる事はなかった。 こんな綺麗な景色なのに、弟の豊はただひたすらに眠り続けている。 もう2時間ほどになるだろうか。 おそらく、今私達が長野にいる事すら知らないだろう。
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