「真一君」

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三階建ての別館の二階に上がると、そこは会議室がいくつか並んでいて、その隣に生徒会室と書いた札の下がった部屋があった。 そう言えば栞は副会長をしているはずだった。 二年なのにもう副会長というのに感心しながら、生徒会室前のポストをのぞく栞の後ろ姿を眺めていた。 彼女はポストに入っていた何枚かの用紙に目を通すと、ノックも無しにいきなり生徒会室のドアを開けた。 中では昨日会った敦司君と、もう一人知らない人が会議用の長机にお菓子をひろげて喋っていた。 「あんた達、ね。そこまで堂々とお菓子食べるの、やめてくれない? 一応、校則では禁止になってんのよ」 言いながら栞は鞄を長机に置くと、ひろげたお菓子に手を伸ばす。 「お前も食ってんじゃねえか」 「私は副会長だからOKなの。こういうのを職権濫用って言うのよ」 口の中のお菓子を噛みながら、彼女はばらばらの書類を棚の上に捨てて、入り口に立ったままの私に手招きをした。
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