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「こいつ、本名は『武者小路 平八』っていうの。ハチって呼んでいいから」
「僕、栞に恨まれるような事したっけ?」
と真一君が椅子の背もたれにもたれて、後ろに立つ栞を首を曲げて見上げる。
「私、自分よりセンスのいい奴って基本的に嫌いなわけ。だから敦司なんかとっても好きよ。いつ見ても黒系の服ばっかりだもん」
と言いながら栞は鞄から手帳を取り出した。
「結局真一の自己紹介、無視してんじゃねえか。こいつ、本名は宮村真一。でも全員が真一って言ってるから、そろそろ真一の名字を忘れかけてる友達もいるくらいだよ。宮村って呼んでも、多分本人も気づかないと思うぞ?」
敦司君の説明に、本人含めて苦笑がおこる。
私ももう真一君で覚えてしまってるから、宮村と言われても、きっとわからないだろう。
「上野未帆です。よろしく」
「こっちこそ、よろしく」
軽く頭を下げると、向こうもそれにあわせた。
前髪が軽く目にかかりそうな感じで、綺麗な黒色の髪だった。
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