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当の真一君も面倒くさそうに立ち上がる。
本人はいたって、普通の様子だけれど、相手側のあれは、ひいき目に見ても喧嘩腰でしかなかった。
私は呼び出された本人よりも心配になって、思わず立ち上がっていた。
「真一君、大丈夫...? あの人-」
「大丈夫だって。さっき栞の破った、予算の書類の事だろうから。別に喧嘩にいくわけじゃないし」
と言って鞄もまとめて持って、逆に私を励ますように肩をたたいて部屋を出た。
彼の後ろ姿が階段の奥へと消えていくのを私は最後まで振り返って眺めていた。
「あいつ、もめごと処理は上手いから。私なんかが行ったら絶対喧嘩になるようなところでも、ちゃんと話で決着つけてくれるって。未帆ももう遅いから帰ろ、ね」
背中に栞の暖かい手が触れる。
私はぼんやりと、そのよく通る彼女の声を耳に、彼のいなくなった階段に向き合っていた。
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