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「未帆、真一の隣に座ってよ。私、二人の後ろに座らせて。数学やってるのがばれたら、またあの牧師うるさいから」
言って、彼女は真一君の後ろに座る。
確かに私が彼の隣に座れば、栞は私達が邪魔になって、牧師から見えなくなる。
さすが、と思いながら彼の隣に座って宗教の教科書を置く。
なんだか、昨日は彼を待たずに帰ってしまったのがすごく後ろめたく感じられて、しばらく言葉に詰まってしまった。
でもこのまま黙っているわけにもいかない。
とりあえず何か言わないと、と思いやっとの事で口を開いた。
「真一君...」
彼は小さく、ん?と言いながら私に目をやった。
「昨日、大丈夫だった?」
「別に喧嘩しにいったわけじゃないからね」
と笑顔で教科書を閉じる。
「ちょっと予算の事で、先生がもめてただけ。ほら、ここの生徒会って生徒代表でクラブの予算請求を学校側にまとめて出すから、学校側も面倒なんだよ、この時期は」
ふーん、と私はうなずきながら感心する。
私のいた学校の生徒会なんて、とにかくやる気がなくて、本当に活動してるのかどうかすら怪しかったのに。
そう言えば彼は生徒会の何の役なんだろう。
栞が副会長というのしか聞いてはいなかった。
「真一君って、生徒会長やってるの?」
予算を出せるという事はそのあたりなんだろうかと思って聞いてみると、彼は軽く手を振りながら答えた。
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