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「生徒会長は三年の先輩がやってる。僕はただの会計だから、実際は副会長の栞の方が偉いんだよ」
そう言われて後ろを振り向くと、彼女は数2の微分、積分の問題をクイズを解くみたいに、すらすらと解答欄に書き込んでいた。私なら間違いなく、10分はかかるような問題だった。
「栞って、頭良いんだね...」
また彼の方に目線を戻して言うと、「特に理系はね」と彼は声のトーンを落として言った。
なぜ小さな声になるのかと思うと、ちょうど牧師が前に立xtu
て、何か言おうとしているところだった。
牧師は、おそらく聖書と思われる、小さな本を片手に「主の祈り」を詠いはじめた。
「天にまします 我らの父よ、願わくは御名の尊まれんことを、御国の来らんことを、御旨の天に行われるるごとく地にも行われん事を...。我らが日用の糧を今日我らに与えたまえ。我らが人に許すごとく-」
しばらくこの詠が続いた後、アーメンとだけ全員で言い、その後は普通のキリストの歴史などを牧師が語りはじめた。
私はもちろん宗教の事はわからなかったので、アーメンと言うべきところも、一人何も言えずに黙っていた。聖堂から全員の声の名残が消えると、周りの人達はそれぞれにノートを開き始めた。
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