「土曜日の午後」

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宗教の授業が終わって、みんなが席を一斉に立ちはじめた頃、後ろの席に座っていた栞を振り返ると彼女は数学の問題集の上で見事に熟睡中だった。 私は真一君と目を合わせると二人で笑いあう。 「本当にこれで頭良いの? 栞って」 「実はカンニングしてたのかも」 二人、席を立ち、栞を軽くゆすって、眠りから覚ましてやる。 寝起きの栞はさぞかし不機嫌だろうと覚悟はしていたけれど、実際に起こしてみると、多少ぼーっとしてはいたけれど、不機嫌という言葉には全く縁がなかった。
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