「土曜日の午後」

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珍しく大人しい彼女を連れて、私と真一君は人波の最後部にくっついて聖堂を出る。 最後に扉をくぐる前に聖堂を振り返ると、誰もいないその空気は本当に神様を信じてしまいそうな雰囲気を漂わせていた。 それまで宗教というものにはあくまで、距離を置いていたけれど、聖堂だけなら、来てもいいかもしれないと思い始めていた。 「ねえ、これからどうする?」 寝起きの栞やっと口を開いたのは、中庭の通路を行っている時だった。 私と真一君が振り向くと、彼女はバツが悪そうに中庭の木々を見ながら、髪をいじっていた。 私はそんな彼女に思わず笑い出しそうになりながら、話をつなげた。 「今日は特に用事ないけど。近くのお店で何か食べる?」 と言うと、彼女は何かを思い出したのか、急に私を指差して言った。 「敦司の家行こう。あそこなら昼食も食べられるし」 「あ、いいねそれ」 と真一君も同意する。 彼も言うという事は、土曜日の午後は生徒会はないという事だろう。 あったら彼はちゃんと出席するはずだから。
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