「土曜日の午後」

4/11
前へ
/126ページ
次へ
「敦司君の家ってどのへんなの?」 中庭が終わり、数段の短い階段を上がると本館へと足を踏み入れる。 「一駅くらいよ? 未帆は反対側だから定期は効かないけど、往復したって500円もかからないから。どう?」 冷たい廊下を歩きながら、うなずいた。 今、その敦司君のクラスの前を通る。 半分開いたままのドアからは彼の姿は見えなかった。 見えないあたりの席に彼が座っていたのだろうけど、栞は何のためらいもなく、そのクラスに入って行った。
/126ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加