「土曜日の午後」

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敦司君の家に行くためには、まずいつも通っている駅にまで来なければならない。 真一君はちょっと用事があるという事で、違う電車に乗って行き、私と栞と敦司君の三人は反対側のホームで電車を待つ。 ホームから見えるデパートやバス停もどこか少し寒そうにじっと佇んでいた。 もうコートが必要かもしれない。 そんな事を思っているうちに、電車がホームに入って来た。 乗り込むと暖かい空気が迎えてくれる。 「敦司君の家って駅からすぐなの?」 吊革に両手をかける敦司君に聞いてみる。 確か一駅と言っていたから、学校からはかなり近いはず。 「駅からちょっと歩くけどな、別に心配する程遠くはないさ」 「て言うか、なんであんた自転車通学しないわけ? 十分行ける距離でしょ?」
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