「土曜日の午後」

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私も栞と同じ事を思っていた。 東京にいた頃は二駅分の距離を自転車通学していた友達もざらにいたから。 「雪道をさ、自転車で行って事故った事があるんだよ。小学生くらいの時。それ以来、ちょっと怖くてさ...」 「なんか意外に間抜けね、あんた」 栞がきつい一言を吐くと、電車は彼を慰めるかのようにゆっくりと停車して、ドアを開いた。 再び冷たい空気に晒されながら、ホームへと降りる。 学校のある駅とは違い、自動改札機も二つしかなく、順番に並んで通る。 降りる人は本当に少ないから、混雑する事は少しもなかったが。
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