「私たちにとっての『時間』」

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どれくらいの時間が経ったのだろう。 突然部屋にノックの音が飛び込んできて私は急にまどろむ気分から、現実へと引きずり戻された。 「姉ちゃん、電話。学校の人」 豊が私の返事も無しにドアを開けて、受話器を差し出した。 私は未だに頭が少しボーっとしていて、しばらくその受話器をじっと見詰めていた。 「姉ちゃん、起きてんのか!? ほら」 と言って豊は面倒そうに受話器を渡すと部屋から出て行った。 まだ額が冷たい。 文字通り頭を冷やしていたけれど、あまり考えの方はパッとしなかった。 何とか話をする決心をしてから、それを耳元に当てて軽く返事してみる。 相手は思ったとおり、栞だxtu た。 「ね、未帆。今日どうしたの? 気分でも悪かった?」 「ううん、別に。ごめんね、今日」 「それは気にしなくっても良いから。未帆が大丈夫ならそれでいいから」 耳元に暖かい声が響いてくる。 それは冷たい頭にはしっかりと伝わってくる。 頭の中の何か凍りづけになっていたものがゆっくりと溶けていくような気がする。 けれど、彼女の声が私を暖めていくごとに、自分が彼女から遠ざかっていく気がした。 私にはみんなとつりあう物がなくって、そしてそれが理由で心の奥に汚い嫉妬なんてものが見え隠れしているのだから。 氷が溶けるとその中に含まれた土も一緒に出てきてしまう。 そんな感じがして。
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