「私たちにとっての『時間』」

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「ね、未帆。明日って土曜じゃない? みんなでどっか遊びに行かない? 敦司と真一は暇らしいから」 彼女の問いかけに自分の心を覗くのをやめ、その話に耳を傾ける。 軽く返事をするとまた彼女の声がリズム良く流れてくる。 栞の話し方はまるで音楽を聴いてるみたいに、途切れる事も、つまずく事も無く綺麗に流れていく。 私はあまりその話の内容は聞いてはいなかったけれど、とても心地よい音楽に身を委ねて、いつまでも長話を続けていた。 「じゃ、明日お昼の三時に駅ね。遅刻しちゃ駄目よ」 「うん」 音楽が消えると、私は受話器の電源を切る。 とても静かな、音のない夜のひとときがこの部屋にはあった。 辺りを見回すともちろん誰もいるはずもなく、ただ机の上の銀の十字架だけが窓から入る月の光を灯していた。
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