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「プロローグ……よし、言ったわよ。ちゃんと喚べるかな……?」
これは夢の中での出来事。
大きな円卓を八人が取り囲んでいる。
そのうちの五人は、モザイクがかかっているかのように姿が不鮮明で、存在感が希薄だった。
視界から外せばすぐに忘れてしまう程に。
残りの三人はそれに比べれば、ずっと存在感が強い。
一人は顔だけにモザイクがかけられているだけ。
一人は全体的な輪郭がはっきりしないが、触れる事もできる。
一人は完全に実体化をしていた。
顔だけにモザイクがかかっている少女が、実体化している少年に話し掛ける。
『兄さん、私を喚んで』
少年は黙って頷く。
『真龍達が世界を滅ぼす前に、もう一度あの頃のように一緒に過ごそうよ』
少年は輪郭が不鮮明な少女を気にしながら、小さく頷く。
少年は少女から羨ましそうな視線を感じる。
『あなたは同じ世界にいるんだからいいじゃない。何時でも会えるんだし』
顔にモザイクがかかっている少女が言うと、輪郭が不鮮明な少女は項垂れたように肩を落とす。
「まぁまぁ、そんな事言うなって。会えるつったって組が違うから、毎日は会えないんだぞ」
少年が顔にモザイクがかかっている少女をたしなめる。
「召喚術を使う日に、覚えていたら喚ぶよ」
この夢は、忘れてしまう程どうでもいい夢の一部。
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