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「・・・ベンしてくれ・・・よ。」
階段を降りてきた彼女たちの耳にかすかに聞こえてきた言葉である。
「い~もん持ってんじゃないか、君たち。ちょうどボクちゃんおなかすいてんだよね。行き倒れそうなんだ。そいつを恵んでくれないかなぁ。」
白昼堂々階段下で、2人の男子生徒相手にパンをたかっている巨漢の男が目に入る。
その目には三角のサングラスが装備され、髪型は時代遅れのリーゼント。
フレザー校の制服を無視した長ランを身に纏い、カラーの内側には自己紹介まで描いてある。
本校一の不良、我道(わがみち)の姿が見て取れた。
誰がどう見てもかつあげを行っている状況に疑いようが無い。
さらに追い詰められた生徒は、おろおろするばかり。
無理も無い、相手は身長180cmを越える巨漢。
さらにサングラス・リーゼントでは顔つきが悪い。
噂だと空手が7段・合気道5段・お笑い3段だというふれ込みの相手なのだ。
一般生徒が怯え無いはずが無い。
「レン、どうやら出番で~す。準備してくださ~い。」
「OK、行ってくるよ。あたしヤキソバパン、よろしくね。」
そう言うレンは、お手洗いの方へと駆け出すのであった。
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