失われた記憶

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矢印に従うと、この部屋の出口であろう扉にたどり着いた。 頑丈に作られた扉を開けると、 再び目の前が白に埋め尽くされた。 窓は無く、壁や天井、 扉までもが真っ白な空間。 ただひたすらと綺麗な白が続いているようにも見える。 しかし廊下には誰も居ない。 矢印は東を指していたが、 窓口は西にあると言っていたので、 とりあえず西に向かい階段を探すことにした。 ひたすらに廊下を歩いてゆくと、 突き当たりに階段を見つけた。 重たい扉を開けると、 すぐに案内板があった。 ここは地下1階らしい・・・ 地下3階、地上2階建てのこの場所は、 「UWED総合管理・研究施設」と書かれている。 1階と2階以外は全て同じ構造で、ほぼ全ての場所に立ち入り禁止と書いてあるのが目に付いたが、 地下に至っては「体験者用」と書いてある・・・ 俺はとりあえず窓口を探した。 「1階西側7番窓口は・・・」 と独り言を呟いた瞬間だった。 「あれっ、同じところじゃね?」 突然後ろから声がした。 とっさに振り向くと、 見覚えのある若い男が立っていた。
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