死の無い戦争

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目の前がはっきりして、耳鳴りも止んだ。 どうやら土嚢に囲まれた場所にいるらしい・・・ しかし銃声は止まない。 (なんで俺はこんな所にいるんだ? それに・・・軍服みたいなものを着て、 古ぼけた銃を持っている・・・) (これは・・・戦争・・・なのか?) 「これは夢?それとも現実!?」 「俺は誰だ?ここは何処だ!!」 いろんな疑問を叫んだが、 それも銃声に掻き消された。 暫くすると、 「早く撃てぇ!!!」 と、誰かが叫んだ。 けど人なんて見えない。 人なのかを判断している余裕も無い。 俺はとにかく撃ちまくった。 我武者羅に、無我夢中で。 次第に全身にアドレナリンが満ち渡る・・・ カチッカチッと音がする。 (弾切れか?) 急いで土嚢に隠れた。 と、同時に足元に何かが落ちてきた。 隣にいた若い男が叫んだ。 「投げ返せぇぇ!!」
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