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「はじめまして。UWED管理担当の斉木と申します」
一番先頭の男が喋りかけてきた。
それに続けるように、隣の男が喋る。
「はじめまして・・・本施設医療担当の川口と言います」
俺には全てが疑問だった。
(さっきまで戦場に居たはず・・・
医療?施設?・・・ってことはここは病院?)
「はじめまして、ROM担当の渡辺と言います。
これからは893番さんの担当になります。よろしくお願いします」
渡辺と名乗った小柄な女性がにっこりと笑う。
「あの・・・UWEDって?」
(・・・ROMってなんだ?)
「じゃあ、渡辺くん。後はお願いします」
そう言うと、斉木と名乗った男と、
斉木にくっついてきた(助手らしき)人達は、
部屋を出て行ってしまった。
すると直ぐに渡辺と言う女が話しかけてきた。
「初めに申しておきますと、
UWEDとは、
『unreal war experience device』の事です。
後程施設内某所にてROMの事も含め詳しく教えます・・・」
言っている事が全く分からない。
単に専門用語なのか、略語なのか・・・
俺には質問するしか術は無かった。
「あの・・・・・ROMって・・・なんですか?」
渡辺は眉を顰め、溜息を吐くと面倒くさそうに言った。
「ROMとは『Recovery Of Memory.』
日本語に直すと、『記憶の回復』と言う意味です」
(・・・記憶?・・・俺の???)
俺には何が何だか分からない。
戦争の記憶は有るが、他のことが思い出せない・・・
(忘れたのか?)
(今はいつなんだ?)
(一体俺はどこにいるんだ?)
(俺は誰なんだ?)
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