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そして、圧縮した空気を解放してやれば・・・
「うおっ!!」
風が巻き起こり、こいつらはぶっ倒れる
「用が済んだなら家に帰りたいんだが。つーより、用が済んでなくても、帰らせてもらうぞ」
待てとか、なんとか言っているスキルアウトを無視して帰路につく
そして、しばらく暗い路地を歩いていると唐突にそれは俺の後ろから耳に聞こえてきた
「グギャアアア!」
まるで人のものではないような悲鳴
もしかすると断末魔
俺が呆然と後ろの闇を、闇の向こうを見ていると地面に這いつくばった男が現れた
どうらや、先ほどのスキルアウトらしい
「た、助けてくれ・・・」
恐怖で染まった表情で男は俺に助けを求めた
俺はお人好しと言われる事もあるが自分を襲ってきた奴を助けるほどではない
自分に危険が迫っている可能性があるなら尚更だ
男から視線を逸らし、目の前の闇を見つめる
耳を澄ませば足音が聞こえてくる
だんだんとこちらに近付いてくる足音が
そして、俺の目に映ったのは可憐な美少女だった。
いや、少女と呼ぶには御幣がある。目の前の女性は明らかに俺よりも一つか二つほど年上だ。
ただ、まだ学生であろう相手に女性と言うのもためらわれる。
漆黒の制服に身を包み、吸い込まれるような藍色の瞳をこちらに向け、不敵な笑みを浮かべている様はやはり可愛らしい美少女というよりも妖艶な美人さんだ。
その左腕には昨日見たばかり深緑の腕章。
「風紀委員(ジャッチメント)・・・」
俺のつぶやきに対して肯定の代わりかのように微笑みをこちらに向けてきた。
「グギャアアア!」
その刹那、足元の男の悲鳴が響き渡った。
見れば男はクレーターのようにつぶれた地面の真ん中で気絶している。
「まったく、時間がかかってしまったわ。ただ、勧誘にきただけなんだけど」
やれやれとため息混じりに呟く。
彼女にしてみれば自分の能力を使った結果なのだから当たり前のことなのだろう。
「そ、それは災難でしたね。じゃあ、俺はこれで・・・」
「勘違いしているようね。それとも、わざとかしら?私が用があるのはあなたよ、如月睦月くん」
この路地を今使っているのは俺とそこのスキルアウトぐらいだ。
スキルアウトに用がないなら俺しかいないだろう。
「あなたを風紀委員(ジャッチメント)にスカウトしにきたの」
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