風紀委員(ジャッチメント)

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《学園都市》の警備を担当する組織は二つある。 警備員(アンチスキル)と風紀委員(ジャッチメント)だ。 その大きな差は権限にあるだろう。 警備員(アンチスキル)は《学園都市》の教師達が組織し、風紀委員(ジャッチメント)は生徒が組織する。 その時点で権限の差があることは明確である。 たとえ自らの支部の置かれている学区で大きな事件が起きたとしても風紀委員(ジャッチメント)はあくまで警備員(アンチスキル)の補佐しか出来無い。装備も最低限のゴム弾程度であろう。 一方、警備員(アンチスキル)は必要性があると認められれば《学園都市》が開発した新型兵器の使用も可能だ。 しかし、風紀委員(ジャッチメント)にもメリットがあるだろう。 それは契約の簡単さだ。 風紀委員(ジャッチメント)になりたいと思うなら《9枚の契約書にサイン》《13種類の適正試験》《4か月に及ぶ研修》の三つを満たせばなることが出来る。 しかも、《13種類の適正試験》《4か月に及ぶ研修》についてはある法規的処置が認められれば風紀委員(ジャッチメント)の各支部の支部長の権限でパスすることが出来るそうだ。 何故、俺がここまで風紀委員(ジャッチメント)について詳しいかというと簡単だ。 教えられた、昨夜現れたあの風紀委員(ジャッチメント)の少女にだ。 俺を風紀委員(ジャッチメント)にスカウトすると言った少女はあの状況で先ほどの内容と風紀委員(ジャッチメント)に所属した際のメリットを説明し始めた。 まあ、なんだ。あの時、俺に選択肢はなかったらしく彼女は説明を終えると鞄から風紀委員(ジャッチメント)の契約に必要な9枚の契約書を取り出し、ボールペンを俺に押し付けて来た。 その時の少女の笑顔といったら、俺は一生忘れることが出来無いだろう。 俺は少女の笑顔と俺らの足元のクレータに横たわり少女が言うには気絶しているらしいスキルアウトを交互に見やり、ため息混じりにボールペンを走らせた。 そして、その契約書を満足気に俺から受け取り、少女は自分の伸したスキルアウトの片付けがあるからと言って闇に消えていった。 それから、俺は起きたこと全てを夢を見たと思い込むようにしながら帰路についた。 まあ、その後家で心配して涙を瞳にためていた刹花を慰めるのにも随分と苦労したのだが、思い出すのもいやなので記述はしない。 そして、問題は今起きている。
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