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志鬼「右腕の真実」
夕刻、囲炉裏を囲んで会話をしながら食事をする四人。君は飛鳥に質問攻めにされた。
「何で金髪なん?」
「何で眼帯してんねん?鬱陶しいからとれや」
「何で右腕無いん?」(以下省略)
正しくは、以下省略と言うより一気に質問されて最初の三つしか憶えていなかった。君は口に飯を運びながら、面倒臭そうにその三つだけ答えた。
「金髪は生れつき。右腕は依頼中に斬り落とされた。眼帯は取れねぇ、ちょっと特殊な眼だからな。」
「斬り落とされたやってぇ!怖いわぁ~」
「お前は遠慮って言葉しらねぇのか?」
ここに来てからというもの、少しずつ苛々が募っていくのは気のせいだろうか。すると、君の眼帯で封じている右目がズキズキと痛みを放ち始めた。痛みは直ぐに治まったが、ここのところずっと痛みを発する事はなかったので少し不審に思った。食事を終えると、外の聖に食事を与えて早めに床についた。
「ジブン、明日はいつ頃発つん?」
「そうだな…できるだけ早く発ちたいな。」
依頼は早いに越した事はない。
「さよか、明日に備えてしっかり寝ぇ。」
その言葉を最後に、皆眠りについた。
――君は夢の中だ。
昔の、嫌な思い出を見ている。燃える屋敷…地溜まる池…無残な姿の侍達…十年以上前、この時一度榊家は滅んだ。当時君はまだ幼かった。たった二人の手によって、榊家は一度幕を閉じた。
「…やめて…っやめてよ!!」
君は周りの鮮血を浴びながら、当時榊家を奇襲した二人の内一人の男にしがみついた。君は男に蹴り飛ばされると、右腕を足で押さえつけられた。男は、すっかり血で紅くなった刀身を振り翳した。依頼で斬り落とされた?そんなの嘘だ。
「やめてよ!“兄さん”!!」
僕は知っている、君の右腕はこの時君の兄に斬り落とされたって事を。君の右腕は、肩から綺麗に斬り落とされていた。
「うわああああああああぁぁぁぁぁぁああああああああっっっ!!!」
榊家を奇襲したのは、君の兄と連れの忍だった。
君は夢から覚めると、酷く嫌な汗を掻いていた。出発前に当主が言っていた言葉が、妙に頭の中で繰り返される。辺りを見渡すと、三人は既に起床しそれぞれに何らかの作業に取り掛かっていた。漸く起きた君に気付いた鴇は、ニッコリと笑顔を見せた。
「お早う、今丁度メシ出来たで。随分魘されよったけど、大丈夫かいな?」
君は、汗を拭うと無意識に眼帯に触れた。
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