一章

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「大丈夫だ、何とも無い…今行く。」 食事を終えると、直ぐに発つ準備をした。馬に荷物を括り付けていると、三人が手に何かを持って見送りに来た。 「ワイらからありがた~い選別をくれてやろう!」 偉そうに言う飛鳥はあえて放っておこう。先ず始めに、鴇がパンパンに膨らんだ風呂敷包みを差し出した。 「保存が利く食料と、薬。ココはえぇ食材やら薬草が採れる、けど無駄遣いは禁物やで?」 「それは助かるな、恩に着る。」 「着んでえぇよ、気色悪い。」 本人に悪気は無い。次に飛鳥は刀を差し出し、雲雀は短刀を差し出した。 「ワイと雲雀が打った刀やさかい、大事に使いや!」 「コッチは忍者刀、そこのくノ一殿に。」 「忝い」 聖は一礼をして、雲雀から忍者刀を受け取った。 「ポンコツだったらブッ飛ばしにくるからな。」 「酷っ!」 君は刀を受け取ると、既に刀が差さっている方の腰に新しい刀を差した。笠を被って馬に跨る、ついに本格的に依頼を遂行しに行く。 「ほな、またな!」 「気ィ付けや」 「刀折れたら直したるでぇ」 「全部終わるまで絶対来ねぇよ!」 絶対来たくない、こんな苛々するところ。君が馬を走らせると、後を追うように聖が忍者の走方で付いてくる。暫く走り、三人が見えなくなると聖は君に話しかけた。 「刀の手掛かりが何も無いのに、どこへ行かれるおつもりですか?」 「一番情報が集まるところだ。」 なんとなく察しがついた。 「久し振りに、アイツに会いに行ってみるか。」 君は更に馬の走る速さを上げて、先の道を急いだ。
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