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「大丈夫だ、何とも無い…今行く。」
食事を終えると、直ぐに発つ準備をした。馬に荷物を括り付けていると、三人が手に何かを持って見送りに来た。
「ワイらからありがた~い選別をくれてやろう!」
偉そうに言う飛鳥はあえて放っておこう。先ず始めに、鴇がパンパンに膨らんだ風呂敷包みを差し出した。
「保存が利く食料と、薬。ココはえぇ食材やら薬草が採れる、けど無駄遣いは禁物やで?」
「それは助かるな、恩に着る。」
「着んでえぇよ、気色悪い。」
本人に悪気は無い。次に飛鳥は刀を差し出し、雲雀は短刀を差し出した。
「ワイと雲雀が打った刀やさかい、大事に使いや!」
「コッチは忍者刀、そこのくノ一殿に。」
「忝い」
聖は一礼をして、雲雀から忍者刀を受け取った。
「ポンコツだったらブッ飛ばしにくるからな。」
「酷っ!」
君は刀を受け取ると、既に刀が差さっている方の腰に新しい刀を差した。笠を被って馬に跨る、ついに本格的に依頼を遂行しに行く。
「ほな、またな!」
「気ィ付けや」
「刀折れたら直したるでぇ」
「全部終わるまで絶対来ねぇよ!」
絶対来たくない、こんな苛々するところ。君が馬を走らせると、後を追うように聖が忍者の走方で付いてくる。暫く走り、三人が見えなくなると聖は君に話しかけた。
「刀の手掛かりが何も無いのに、どこへ行かれるおつもりですか?」
「一番情報が集まるところだ。」
なんとなく察しがついた。
「久し振りに、アイツに会いに行ってみるか。」
君は更に馬の走る速さを上げて、先の道を急いだ。
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