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「止めても無駄・・・ですね、準備致します。」
優衣はそう言い、部屋にある棚や引き出しなどから色々取り出す。
止める気が無い事も分かり、朱雀も時空に留めている宝剣を引き出した。
先ほど儀式に使用した金色の太刀である。
それを愛おしそうに手にする、自分の愛刀、朱雀の証、名を
『朱桜刀(すおうとう)』と言う。
この太刀自体かなりの力を秘め、代々朱雀に受け継がれている。
何百年、何千年も経っても切れ味が落ちる事も錆びる事も無い刀、人から見れば妖刀と呼ばれるかもしれない。
「主上」
朱桜刀を見ていた朱雀に優衣は袋を持って戻って来た。
「結界符と結界石、玄武様からの玄剤が入って御座います。」
玄剤…玄武が作る薬、強力な力の回復薬、その代わり副作用も強力、人間に使えば即死間違い無し、使いどころが難しい最終手段並みの薬である。
朱雀は少々渋い顔をしながら、優衣から袋を受け取る。
「符が八組、石が五組、玄剤が三つ…こんなものか…」
中を確認し納得し懐にしまう。そして太刀を差し優衣を仰ぎ見る。
「直ぐ戻るが、留守を頼むぞ」
軽く笑う朱雀、"過去渡り"が楽しくて仕方がない様子
「心得ました、お気をつけて下さいませ」
そう言い優衣も微かに笑う
朱雀は何も無い所に手を伸ばす…
すると、微妙な歪みが現れた。
「ではな…」
そう言い残して、朱雀はその歪みに入って行った・・・
消えた朱雀の後を見つめていた優衣
「ご無事でお戻り下さい」
この後、優衣の不安は的中する事になる、勿論"過去渡り"が使えない優衣には分かるはずは無い・・・・・
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