一章"神"

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「止めても無駄・・・ですね、準備致します。」 優衣はそう言い、部屋にある棚や引き出しなどから色々取り出す。 止める気が無い事も分かり、朱雀も時空に留めている宝剣を引き出した。 先ほど儀式に使用した金色の太刀である。 それを愛おしそうに手にする、自分の愛刀、朱雀の証、名を 『朱桜刀(すおうとう)』と言う。 この太刀自体かなりの力を秘め、代々朱雀に受け継がれている。 何百年、何千年も経っても切れ味が落ちる事も錆びる事も無い刀、人から見れば妖刀と呼ばれるかもしれない。 「主上」 朱桜刀を見ていた朱雀に優衣は袋を持って戻って来た。 「結界符と結界石、玄武様からの玄剤が入って御座います。」 玄剤…玄武が作る薬、強力な力の回復薬、その代わり副作用も強力、人間に使えば即死間違い無し、使いどころが難しい最終手段並みの薬である。 朱雀は少々渋い顔をしながら、優衣から袋を受け取る。 「符が八組、石が五組、玄剤が三つ…こんなものか…」 中を確認し納得し懐にしまう。そして太刀を差し優衣を仰ぎ見る。 「直ぐ戻るが、留守を頼むぞ」 軽く笑う朱雀、"過去渡り"が楽しくて仕方がない様子 「心得ました、お気をつけて下さいませ」 そう言い優衣も微かに笑う 朱雀は何も無い所に手を伸ばす… すると、微妙な歪みが現れた。 「ではな…」 そう言い残して、朱雀はその歪みに入って行った・・・ 消えた朱雀の後を見つめていた優衣 「ご無事でお戻り下さい」 この後、優衣の不安は的中する事になる、勿論"過去渡り"が使えない優衣には分かるはずは無い・・・・・ ・
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