3章"再会"

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伏見で一夜を明かした新撰組、装備を整え、幹部達は次の移動先の話をしている。 「返って長州藩邸辺りとかが良いんじゃ無いか?」 密かな切れ者永倉が、京の地図を見ながら考えている。 「灯台下暗しってかぁ!?」 原田もそれなりに乗り気だ。 「しかしな…彼方は別な藩が回っている筈だ、俺達が行くと変に拗れる可能性もあるぜ。」 こういう時は策略家土方の本領発揮である。 御所に近ければ近い程、力の持った藩が守りに付いている。 たかだか百人足らずの自分達が行っても足蹴にされるだけだ。 「せめて会津と合流するか。」それが一番合理的な方法だと土方は思う。 「会津と合流…良いんじゃ無いんですかぁ、元々私達は会津藩預かりなんですし…。」 珍しく総司が口を挟む。 「あぁ…それが良いと俺も思うぜ…。」 そんな話合いが続く。 『ドォォォォォォォォン!!』 また大砲の音、長州はなにを考えてるっ!? 「ちっ…今度は何処だ!?」 かなり中心から聞こえた気がする。 その時、早馬が此方に向かって走って来る、旗印は…会津だ!! 「此方に居ったか、蛤御門に大砲が撃ち込まれた!! 新撰組も其方に回ってくれ!!」 「御所に撃ち込んだ!?」 流石に幹部達も顔色が青くなる…。 「お前らっ!!蛤御門に急ぐぞっ!!」 新撰組は御所蛤御門へと移動を開始した・・・・・ 「はぁ…やっちゃったなぁ。」 今日も窓から大砲の音を聞いている瑠衣。 「今日は大分街中だったね。」 「うん…今日は蛤御門…。」 「は?…蛤御門…御所!?」 桂の顔色が青くなる。 「そう御所…けど今日は此で終わりじゃ無い、小五郎知っているんでしょう?」 瑠衣の言葉に桂は観念して白状する。 「…長州藩邸を捨てる…連中は火を放つつもりだ…瑠衣どうして其処まで知っている?」 「知りたい?」 瑠衣は徐に立ち上がり、下から茶碗と水を持って来る。 「何をするんだい??」 桂は不思議そうに瑠衣の行動を見ている。 「余り遠くは見れないけど、京の中くらいは捜索出来る。」 水の揺れが収まるのを待ち、瑠衣は脇差しを抜き、指先を少し切る… "ポタン‥" 血が一滴茶碗に落ちる。 それを見て瑠衣は印を結ぶ。 「"我臥して願い奉る…西風を司る白虎よ…我に力を…遠くを見通し…その力を我に…"」 ・
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