3章"再会"

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本来遠見は自分の範囲外、だから白虎の力を借りる。 白虎の遠見の力を… 茶碗に徐々に風景が映し出される…蛤御門…今戦闘の真っ最中だ…。 「遠見…此は今蛤御門で実際に起こっている事…。」 印を結びながら瑠衣は答える。 「此が瑠衣の力…凄いな…確かに長州藩の大砲だ…やはり旗色悪いな…負け戦か…。」 砲撃までは良かったが、乱戦になれば長州軍は旗色が悪い…。 「この状況だと負ける…御所近くは守りが固い…それに大砲の音を聞きつけ他藩も多分移動する…そうしたら勝ち目は無い…。」 冷静に状況を判断する瑠衣…大体その手は得意分野…見ただけで戦況は分かる。 乱戦の様子を映し出す茶碗を食い入る様に見る桂。 やはり仲間内が死んで行くのは心境複雑だろう…。 大分数が少なくなった所に新撰組が到着する…すぐさま散会し残党を斬り倒していく…。 「此が壬生浪…本当に鬼だな…それに殺す事に躊躇いが無い…。」 茶碗には戦陣を切って、敵を追う総司と斎藤の姿が映っている…。 一人も逃さず斬り殺す姿は鬼そのもの…桂の言葉に否定は出来ない。 「…鬼の巣…敵前逃亡は切腹…後ろ傷も切腹…だから皆必死…。」 「あぁ…聞いた事はあるな…鉄の掟だと…。」 新撰組局中法度は割と有名な話らしい…。 「…局中法度… 士道に背き事無かれ 局を脱する事無かれ 勝手な金策する事無かれ 勝手に訴訟取り扱う事無かれ 私闘をする事無かれ 背くもの切腹申し付ける物なり…。」 「…本当に鉄の掟だね…。」 「別に後ろめたい事が無ければ、何事も無いと思う…何かあるから切腹になるんでしょう。」 局中法度…意外と抜け道も多い…それは言わない。 そろそろ桂も自分が何処に行きたいか気付いてる筈…。 「そうだね、武士として当然の事を言っているまでだね…武士として産まれて育ったら、自然と身に付いてる事だ…。」 そろそろ蛤御門の戦闘も終わる、瑠衣は茶碗に手を翳し場所を長州藩邸に移す。 「やはり大量に油と火薬を用意している…本気で火を点けるつもりだ…そうしたら京は…。」 「…大火災は免れないよ…小五郎…もう遅い…止められ無い…。」 「分かってるよ…初めから知っていたのだから…私は…情けない…。」 着々と準備を進める長州藩士、確か出火元は二ヶ所…そうなれば京は焼け野原だ…。 ・
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