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皆、それぞれの隊を集め、近藤率いる天王山組は大阪方面に、土方率いる火災組は街中へと分かれる。
天王山組には近藤達他、会津からの藩士が約百名程、新撰組は五十名程の共同戦線になる。
今から天王山に向かっても夜になる、今夜も途中で夜営になる。
「何か外暮らしも馴れて来ましたねぇ~源さん。」
「ははは…総司、わしの若い頃は良くあったぞ。」
「源さんの若い頃ねぇ~」
陣の中で、寛ぐ隊士達。
明日が勝負所である。
「意外とさ、土方さんに似てたりして…。」
原田が井上をからかっ来る。
「おいおい…歳と一緒にされたら困るぞい…↓↓↓」
「だな…手の速さは折り紙付きだ。」
永倉も珍しく乗って来る。
「源さんが、土方さんみたいな女にだらしないなら、今頃いっぱい子供が居そうですねぇ。」総司も想像して爆笑している。
何のかんの言って皆井上が好きなのだ、だからつい構いたくなる。
「勘弁してくれんかのぅ…わしは良いとこ土手で野宿くらいじゃ…歳の様な事はしとらんぞ…。」
井上の発言に皆爆笑している、多分この大らかさが好かれる由縁なのだろう。
井上の大らか、新撰組には必要不可欠なのかも知れない。
深夜ー
「良しっ!!」
忍服に身を包み、瑠衣は出発の準備をしていた。
天王山なら夜中に出発すれば朝までには新撰組を追い越して着ける。
ふっきった証拠に今は髪紐はあの総司のお揃いのをしている。脇差しを差し、所持品を確認する。
「…行くのかい。」
「うん、小五郎本当に世話になった、ありかとう。」
「いや…世話になったのは私の方かもね、まぁ暫く此処に居るから、何時でもおいで。」
窓からは火事の炎が空を赤くしている。
それを少し悲しそうに見る瑠衣。
「大丈夫、京の人は強いよ、直ぐ復興するさ…。」
「…そうだね…みんな強い。」
京の人も長州人も…皆立ち上がる…。
「小五郎…久坂玄瑞に合うけど伝言ある?」
「!!…馬鹿野郎…と…。」
瑠衣は頷く。
「じゃぁ…お別れは言わないよ小五郎、絶対冬に京懐石食べさせて貰うんだからね。」
「あぁ…約束するよ、行っておいで瑠衣。」
「うんっ!!」
瑠衣は窓から外に飛び出す。
「また合おう…瑠衣…。」
桂は暗闇に紛れ見えなくなった瑠衣を何時までも見ていた…。
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