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天王山の下の夜営地の木の上で瑠衣は呑気にしている。
あれから後始末だの何だのが終わり下に降りて来た。
「・・・・・・・」
手首には包帯が巻かれている、先程総司が薬を塗って包帯を巻いてくれた…。
(記憶無くても無意識か…)
巻かれた包帯を見て、笑いが込み上げて来る。
笑う訳にはいかないので、必死に我慢…。
「おにぎりたべませんか?」
下から総司の声がする。
うんと頷くと、おにぎりが飛んで来た。
瑠衣は先程井上がくれた紙と筆入れ(携帯用で墨が入ってます)を取り出し、ありかとうと書いて下に落とす。
総司は紙を上手く受け止めて
「いいえ、お腹空いたでしょう…。」
そう言って笑っている。
おにぎりが入っている包みを開けて食べようとしたら、総司が木の上に登って来た。
きょとんと見てると、自分もおにぎりを取り出し食べ始める。瑠衣もおにぎりを食べ始めた。
「少し…質問しても良いですか??」
頷く瑠衣。
「何故忍刀では無く脇差しなのですか??」
瑠衣は仕方無く、紙に字を書いていく…。
"大切な物だから"
「大切…けど使いにくくありません?」
"馴れたから大丈夫"
「馴れるんですねぇ~あっそれとその髪紐、どこで手に入れたのですか?」
その質問に瑠衣は少し困った顔をする…。
あの時、ふらふら歩いていて、実際何処の小間物屋で買ったか覚えて無いのだ。
必死に思い出そうとするが、分からない。
眉間にシワを寄せて考える瑠衣…。
そんな瑠衣の顔を見て、ケラケラ笑う総司。
「そんなに考えたら、土方さんみたくなってしまいますよ…ぁはははは♪♪♪」
其れには困り顔の瑠衣。
とりあえず分からないので…
"すみません、何処で買ったか覚えてません"
と紙に書く。
瑠衣の表情からして嘘は無いと思った総司。
「そうですか…分かりませんか…私と同じですよね、色は違いますが…。」
とりあえず総司の髪紐を見て、うんと頷く。
「私も何処で手に入れたのか分からないので…もしかしたらと思ったんですけど、分からないものは仕方が無いですねぇ。」
初めの頃を思い出す、よく総司は色々聞きたがって来たっけ。
此方の時間ではまだ一年経って無いのに、物凄く懐かしい感じがする…。
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